詩をめぐる診断/菊西 夕座
 
街の片隅に腰掛けていたのは、造園会社の2階がテラスになっている白い建物だった

高架橋の上から街医者になった気分で眺め、車を走らせながらざっくりと診断してみる

街並みを待合室に例えたときに、居並ぶ家屋のなかで造園会社はすでに重患だった

緑化への気概にあふれた2階テラスは閑散とし、夜逃げされた廃屋寸前の倒産社屋

1階に比べて2階の建屋はペントハウスのように小さく、回廊式のベランダに囲まれていた

つばの広いテンガロンハットのようであり、船の甲板のようでもあって開放感が好ましい

若く隆盛をきわめていたころには、回廊と張りだしたテラスに植木鉢をたくさん並べ

さらにベ
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