哀しみと夢/
栗栖真理亜
こぼれ落ちた涙が丸いカーブを画いて小さな金属の穴に吸い込まれてゆく
洗面器の白い肌に沿って
こんなにも希望が儚くて哀しいなんて思いもしなかった
今はただこうして鏡も見ずに傷みを堪えていたい
これが唯一、僕に対する罰だとしたら
どうしてこんなにも吐き出したくても吐けない苦しみがあるの
まるで口に拡がる血の味を必死に押し留めようとしてるみたいに
もう全てを投げ出して今は哀しみの渦に捲き込まれていたい
心が晴れ渡るその日がいつか来るまで
戻る
編
削
Point
(0)