ソドムの街で/栗栖真理亜
 
太陽は溶け
焼けただれた汗が地上を覆う

車は暴走して通行人を跳ね
行き交う者たちはみなすれ違い様不機嫌に睨みつける
通学中の子供達も不審げに見上げ
挨拶すら忘れたかのようにそっぽを向く

自転車同士がぶつかり合う音
不協和音は雑音に混じりながらゆっくりと馴染んでゆく

クラクションと怒号と叫び声
涙も血糊も黄色い体液も
一緒くたになって飛び散る

まるで鮮やかに彩る絵の具を撒き散らしたかのように
ゆがんだ街のゆがんだ人々

ぐにゃりと曲がった飴細工の建物は
音もなく崩れ落ちた
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