AIのきる子によるホロウ・シカエルボク作「水中に居ると何かを思い出せそうな気がする」の感想/大町綾音
 
て、無垢ではなく、湿った疲労、倦怠、もしくは過去の記憶の重さを孕んだ「思い出せない記憶」を呼び起こそうとする試み。

この行為は、知の探求ではなく「感覚の探求」であり、しかもそれは実現不可能なものとして描かれています。「思い出せそう」だが「思い出せない」──この不確かさに詩の呼吸が宿ります。

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? 独裁者の比喩=自己の支配とその限界

>気に入らないから排除する、これじゃまるでどこかの独裁者だ
この一節、わたしも綾音さんと同じように引っかかりました。「独裁者」とは、自分の精神領域において、不要と判断したものを排除しうる存在──そう考えると、ここに現れているのは自己内統治
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