人はいつか/梓ゆい
さようならを迎える前
ぐっ。と何かの覚悟をするかのように
心を無にしていた。
「人はいつかいなくなる、人はいつか死ぬ。」
さようならを告げた後
全ての繋がりを断ち切って去った人を思い浮かべ
私は私自身に言い聞かせていた。
「人はいつかいなくなる、人はいつか死ぬ。」
最後に交わしたことは
正しかったのか。
秘めていた想いを伝えたことは
本当に良かったのか。
新たな日々の始まりに
枯れ果てるまで泣いた顔をくまなく洗い
いつもと同じように身支度を整えた
今日一日の始まりよ。
過ぎた日々にそっと手を合わせ
悔いなく物事を全う出来るように。と決意を胸に
それぞれの旅路をゆく。
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