白いシーツの波跡/まーつん
一
胸と背中に挟まれた
狭い胸郭のお立ち台で
夜もたけなわと、踊る心臓
ドックドックと五月蠅くて
寝返りを打つベッドの独り身
いっそのこと、止まってくれれば
永遠の眠りに安らげるのに、と
暗がりの向こうで見守る
天井に向かって、不満を呟く
なんで生きねばならないの
(その問いに
答えられた者はいない)
なぜ愛さねばならないの
(愛は努めではなく、契約でもない)
神に向かって
駄々をこねる言葉は
今夜も天井に遮られる
時は滞留し、懊悩で濁っていく
その見通しの悪さに目を閉じて
シーツを掴んで
鼻をうずめる
[次のページ]
戻る 編 削 Point(7)