昭和64年をまたいだ後に/北村 守通
 


 レーニンは
 絞首刑に処せられ
 轟音と共に
 固い肉片が
 路上に飛び散った
 土煙が舞った
 スカッドミサイルが
 パトリオットミサイルが
 夜空を明るく照らし出し
 巨大な
 天体ショーが繰り広げられ
 人々は
 食い入るように
 見入った
 そして
 どこかの砂漠の国の
 小さな大統領の姿が
 やはり
 ブラウン管から消えた
 プツンという
 鈍い音と共に
 ブラウン管から姿を消した

 ように
 記憶している

 やがて
 バブルははじけ
 クリスチャン・ラッセンの
 絵画どころではなくなり
 新興宗教への
 投資だけ
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