チューリップで乾杯を/まーつん
 
の営みを照らし
 同じ数の影を置いてきた
 
 見届けた証しとして

 その役割に疲れた時
 光は、琥珀色に悟り始める

 そして
 迷子になった人々を
 眠りへと誘う

 昼と夜が入れ替わるたびに
 少しずつ傷ついていく
 この星から離れて
 一息つくために
 


 丘の上の庭園では
 陽射しの指先に愛撫されて
 チューリップの花芯が震えている
  
 器を成す花弁と
 そこに注がれる、熟成した光
 その喜悦に、花唇の重なりが
 ほどけそうになる
 
 たおやかに
 器を崩しかける花のもとに
 蜂が慌ててやってくると
 チクリと刺
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