チューリップで乾杯を/まーつん
の営みを照らし
同じ数の影を置いてきた
見届けた証しとして
その役割に疲れた時
光は、琥珀色に悟り始める
そして
迷子になった人々を
眠りへと誘う
昼と夜が入れ替わるたびに
少しずつ傷ついていく
この星から離れて
一息つくために
三
丘の上の庭園では
陽射しの指先に愛撫されて
チューリップの花芯が震えている
器を成す花弁と
そこに注がれる、熟成した光
その喜悦に、花唇の重なりが
ほどけそうになる
たおやかに
器を崩しかける花のもとに
蜂が慌ててやってくると
チクリと刺
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