つるっつる/室町 礼
に
三十年以上つるっつるの苛立ちしかない
んですよね、もう三十年も。そしてそれ
について辛口コメントしてもまったく意
見がつるっつるに滑っていって互いに毛
ほども引っかかり合うことがない。それ
はたぶん木板の木目の少し指先に抵抗
のある感触や石垣の石の表面のとがった
肌さわりやトタン屋根のざらつきやワラ
半紙をつまんでひらくときの親指と人さ
し指のあいだの微妙な感触など、身体と
ひっかかりのあったモノと人間の時代を
知らないでいきなりつるつるぴかぴかシ
ーンの時代に生まれた人との違いがあるの
かもしれない。互いに理解しくれという
ほうが無理なのかもしれない。まさに石
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