履き違いの美/栗栖真理亜
 
芸術家という仮面を被り
ヒラリと軽い身のこなしで人々の前に姿を現す詐欺師

それでもヒトは脆く崩れやすい幻を一瞬でも掴んだと勘違いして満足するのだ
掴みとった詐欺師の袖先は金と欲にまみれているにも関わらず
まるで?天狗の隠れ蓑?のように大衆の目に曝される事なく
上手く隠されてしまう

あぁ、履き違いの愛が奏でる狂奏曲(ハーモニー)
美の道化師が踊り嘲笑(わら)い
すべてが鮮やかな醜さに彩られてゆく

まさしく人間(ヒト)のヘソの奥にある欲望の成される業
人々が渇望する限り嘘が消え去る事はないだろう

そう、我が瞳(め)で真の美を見極める術を
人間(ヒト)が身を持って憶え込むまでは
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