半身/リつ
契った小指を
互いに噛んで
淡く滲んだ紅を
重ね併せた永の約束
忘却の河
レテ越えて
あなたを忘れた私に
宿る深紅の聖結晶
花の誓いも忘れ果て
霞がかった靄の中
見知らぬひとと
結ばれる
時折虚しく
渇いてゆくのは
鳴り響かない何かの欠片を求める焦燥
誓いの呪縛
悪魔のささやき
追わずにいられぬ
ゆれる蜃気の幻影の楼
その向こう
亡くしてしまった大事な何かが待っている
幽かに強く
私を呼ぶこえ
忘れた筈の結晶が鳴る
あなたの内なる私に
私の内なるあなたに
応える共鳴りを
いま
解き放とう
煉獄の業火に灼かれ
花の誓いは甦る
宙を羽撃く不死鳥
澄んだ音色を響かせながら
ふたり
ひとつの永遠になる。
日本web詩人会 初出
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