ミュウとボロ/リつ
 
猫を多頭飼いすると、猫性格の違いが顕になって面白い。

ミュウはとてもビビりで、
お客さんが来た時、帰るまで押し入れのいちばん奥の高い場所からずっと、
「ヴヴゥヴぅぅぅ」
と威嚇してた。
ボロはおっとりしてて人懐こい。
私にいくら邪険にされても、私の声がすると、
「ナァ〜ン」
と掛けよって来る。

ミュウはオモチャで遊び更けるが、
ボロは申し訳程度しか遊ばない。

ミュウは脱走の心配はあまり無いのだが、
ボロはしょっちゅう脱走し、追いかける私を見ておちょくる。

ボロは私の腕枕で眠るのが好きで、寝返りを打つとわざわざ移動して腕の中に収まる。
ミュウは最初、布団の上の足元で寝てるのだが、
真夜中になると布団に入りたそうにして、布団を持ち上げてあげると、
コソコソ素早く足元に移動する。


だけど私が溺愛したのは、人懐こいボロではなく、
神経質でビビりなミュウだ。
ビビりな猫が自分だけに懐いてくれる。
それは私に、この上のない幸福感をもたらした。
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