骨粉/リつ
 
空に灰が降り積もってゆく。

透明な青を閉ざし
憂鬱と呼ぶには白すぎる山梔子の死化粧よ。
そうやって黙ったまま強く薫る秘密の甘さを
蜘蛛の巣みたいに絡み付かせ
左の中指だけで
僅かに藻掻くしぐさが
生々しく、痛い。

折れてしまうのだろう

炭酸ソーダのプルトップを
開け損ねてしまった指は
きれいな爪が
不器用に
長すぎたから。


『これは私。
 私の溶けたほね。
 私の融けたにく。
 ひかりの繭
 子宮を包んで沈む。
 生まれなかった私
 刻まれた名を持たぬ
 もの』


真っ平だ。
もうこんな窒息は
ボードヴィルの閉じた空き箱で
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