すべてを夢州(ゆめしま)のなかにかえしたとしても/秋葉竹
 



忘れさられた大切な想い出でさえ
もはや消え果てて
戻り来る懐かしい
一匹の魚とておらず

来る春にひとり取り残された北風が
月をみあげてなにに祈ることもなく
ただ吹き、
吹き、
吹き、
吹き終わるよ。

波音が聴こえるちいさな家に住めれば
一匹の魚も泳がない月の海を
ただ眺めるだけで
こんな心でも
うすく清くなれるような
気になれる、かな?

月もひとり、だね
あたしだって、ひとりだ

ちょっと、よかった

って

想ってしまった、
失礼。









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