すべてを夢州(ゆめしま)のなかにかえしたとしても/秋葉竹
 

記憶はおそらくは戻らないだろう
泳ぎ去る魚がおそらくは戻らないように


春の大阪湾は
あまり悲しくなくて、いいな


バンコクハクランカイなんて
知らないけれども


夜空をみあげると
そこにみえる淡路島までの
星々の道がみえる気がする

あたし、照れるけど、
泳げないから夜空を飛ぶ予定なんだ
(恥じる、じゃなくて?)
だって、ひとが水に浮く理由を知らないから

港からすこし離れた教会では
神聖で敬虔な祈りが
よごと神さまに捧げられているのだろうけれども
できるだけの善いことを
あたしは行いたいことを
この部屋で孤り神さまに
誓うよ。
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