すべてを夢州(ゆめしま)のなかにかえしたとしても/秋葉竹
記憶はおそらくは戻らないだろう
泳ぎ去る魚がおそらくは戻らないように
春の大阪湾は
あまり悲しくなくて、いいな
バンコクハクランカイなんて
知らないけれども
夜空をみあげると
そこにみえる淡路島までの
星々の道がみえる気がする
あたし、照れるけど、
泳げないから夜空を飛ぶ予定なんだ
(恥じる、じゃなくて?)
だって、ひとが水に浮く理由を知らないから
港からすこし離れた教会では
神聖で敬虔な祈りが
よごと神さまに捧げられているのだろうけれども
できるだけの善いことを
あたしは行いたいことを
この部屋で孤り神さまに
誓うよ。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)