雨に打たれて/栗栖真理亜
冷たい雨粒が雫となって頬を伝う時
君への想いが溢れ出す
胸元の熱い幻が僕をあの頃の記憶へと引き戻すよ
初めてふたりが出逢った時
まるで惹かれあうように見つめあった
君は優しく微笑みながら僕の瞳に言葉を刻んだ
慈しみのリズムは僕のココロに直に染み込んで
消える事の出来ぬ染みとなって残った
僕があの時一歩でも足を前に踏み出せていたら
少しは僕の人生も変わっていただろう
なのに、意気地無しな僕は自分の世界が変わってしまう事がスゴく怖くて
何もしないまま時の流れに身を任せたんだ
君は落胆するように瞼を伏せ
もう、それっきり僕のほうへは見向きもしなくなったね
分かって
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