文学の崩壊/室町 礼
が固執してはいけないと教えている
のかもしれない。
そうだとすればやっぱりシェークスピアは只者ではな
い。重層的な非決定というレイヤーがすでに重ねられ
ていたのだ。
それにしてもサヨクリベラルと目されている人たちは
どうして正義や真実をふり回す己の愚昧さや滑稽さ、
危険性に気がつかないのだろう。そろいもそろって残
念なことに自己をふりかえるという機序が欠損してい
るとしか思えない。
辺見庸という人物がいる。もと新聞記者で今は作家と
いうことになっている。書かれたものを見る限りでは
良い人だと思う。そして多分シェークスピアのいう通
りそういう人物はろくでもない人間性の影
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