台所にはシリアルとかつお節とコーヒー豆が散乱していた/初代ドリンク嬢
 
私の口から
猫が生まれる
喉の奥にひっかかって
息苦しい

気付いていたのだけれど
最初それは
小指の先ほどの石だった

幸せな日常を過ごすたびに
大きくなって
ある日
喉までやってくる

そして
人間の大きさほどもある猫になって
私の口から生まれる

大きな猫は家中を荒らす
畳んであった洗濯を
洗っておいた茶碗を
書きかけの手紙を
家計簿を

冬眠から覚めたばかりのカエルをいたぶるように
その手にかける

小石は猫になって
私から出て行くから

私は深呼吸をして
暴れる猫を
見ている

暴れ終えた猫は私のほうを見て
にやりと笑うと

窓からさっと出て行ってしまった。

人間ほどの大きさの猫は
私の背中に引っかき傷を作り
出て行った。

明後日には
また
戻ってくるだろう
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