冬が終わり現実の春が来る/山人
 
らずに済むところが済まなくなってきたのかもしれない。

 今冬の駅除雪勤務も昨日で終わった。骨身に堪えたが、終わってしまえばなるほどそういうことか、と意味の分からない納得が生まれる。
 今は冬の気配すらなく、おびただしい残雪の量と、道路雪壁のくたびれた雪庇群、時折降りしきるなごり雪、春を急かせる土が見えるひび割れ、このように今となっては何があったんだろうと立ち止まるしかない。
 冬の弾丸が私たちの体に一斉に掃射された。旗を掲げ、馬に乗り、鎧で覆いながら合戦に挑み、知らず知らずのうちに闘いなど初めからなかったのだよ、と春に諭されている。春はあざとい。
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