冬が終わり現実の春が来る/山人
 
しをした。その回数、十四回であった。
 一般的には危険回避のため、命綱をつけること。複数で実施すること。など、雪下ろし中の事故が増発する昨今では常に言われ続けている事項である。それを十分承知の上で、命綱なし、一人作業という選択をしていた。
 二月某日、建設業者の下請け業者社長自らが、橋の除雪中に川に転落し命を落とした。詳しい経緯はわからないが、相当な重量の雪庇が川方向へせり出した結果、その重量と落下引力に引っ張られ雪塊とともに落下してしまったのであろうと推察する。私より一つ上の年齢であった。そんな事故の後の屋根の雪下ろしはさすがに怖かった。自宅は小さいが、一階部分は 車庫や物入となっていて、二
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