私達は仲良し/佐々宝砂
 
ぼくの腕をつかむ。私達はすべてを覚えているの、忘れてしまっているわけじゃないのよ。君の首の皮膚がなまめかしく揺らいで、ぼくの持たない器官に変質してゆく。ぼくはそっとその襞に触れる、ぼくの曾祖はこれを持っていただろうか、これに触れただろうか。

あっちにプリニウスの本はないわ。でも。でものあとの言葉をぼくは聞きたいのか聞きたくないのかわからない。もう終わりにしようと言えば君は笑う。そうね終わりね、もうおばあちゃんがくるもの。大きくなってゆく波がぼくたちを飲む。おばあちゃん、ねえ。私達は仲良しなんです。
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