タコにも酔うのよ。/田中宏輔
乗ったの。
分別って、金銭感覚のことかしら。
お昼に、二回ほど抜いてやったわ。
まるで鍾乳洞のつららのように。
いったい、ぼくは
きみに何をしてあげられるんだろう。
ひたすら盲目になる。
セックスなんて簡単だし。
キッスだって平気よ。
アメリカに行くのが夢なの。
英語なんて話せないけどね。
夢さえあれば幸せよ。
ねえ、これで、ほんとに詩になってるの?
こんなものだって、詩だって、言い張るヤツがいるよ。
わたしにもできることがある。
自分を忘れて、
着物を燃やすところを見つめている。
ぼくにできることって何だろう。
みんな、わたしに惚れるのよ。
一枚の枯れ葉が
玉手箱の背中にくっついてる。
風の手が触れると
くるくると、
くるくると。
とうに、
蟻の歌は忘れてしまったけれど。
でも、もう二度と、
手首を切ったりなんかしないわ。
もう少し、
あと、もう少しで、夢がかなうの。
かなえてみせるわ。
玉手箱。
手あたりしだいに
鹿とする。
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