詩の言の葉/秋葉竹
たったひとつは出てくるはずさ
婚約指輪とか
けれども金銀財宝に
埋まって生きてみたいとは
想わないからちょうどいい
ダイヤの指輪の置き場所を
忘れるくらいがちょうどいい
稀な大雪のせいで
電車は止まり
いつ動くかわからないそう
でもいずれ
絶対ダイヤは復旧するでしょう?
粛々と
粛々と
時は流れるものですから
流れ流れて
やがて私を何処へ連れてゆくのか?
棺から
こぼれる声を
むかし聴いた気がする
いちにちまえの
『辛かったけど、楽しかったよ』
というあのひとの心の声だと信じた
ただの時間は流れてゆき
一秒は一秒として
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