ふと悲しみの星は流れる/秋葉竹
そのとき聴こえた
忘れられそうもない歌声が
いまも僕のこころを波立たせて
夢を追う悲しみをこの身にまとわせるのだ
ときに狂おしいほどの
無力の罪にこのこころを焼かれそうになり
もはや諦めるしかないのかと
かえりみた両の手に
掴んだかがやく光とてなく
ただ夜の中
世界の記憶を騙して騙して
彷徨うしかない哀れな風ばかり
黎明の
切実な美しさに
やわらかに
なだらかに
そしていずれこらえきれずに
強烈に
激烈に
疾風となり
すべてを薙ぎ倒す一途さで
あからさまに吹き
吹き
吹きまくり
つづけるだろうけして寂しくならないために
ただその
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