NWSF怪畸幻想ロマン 斬魔屋カンテラ!!『春一番が吹く迄』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
が良い家の人らしく、和装の上品な中年女性であつた。「この度は…」途切れ途切れ、涙にくれながらも、彼女は思ひのたけを語つた。「倖世が、一度は【魔】に憑かれながらも、こうしてあの世での他生を迷はず送れるのは、カンテラ先生のお蔭ですわ」「私が彼女を斬つた事、お許し願へるのですね?」「それは…致し方なかつたのでせう?」「はい。人一人の命が懸かつてをりました」さうきつぱりとカンテラは云ひ、母堂はまた涙した。


【?】

「鬼キ」はまだ「カンテラ一燈齋事務所」の中を、彷徨つてゐた。「妾アタシとした事が、あんな爺イにしてやられるなんて、だうかしてゐたわ。この儘で行けば、カンテラの命を絶つ計画は、成功
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