NWSF怪畸幻想ロマン 斬魔屋カンテラ!!『春一番が吹く迄』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
【?】
明日は倖世の遺族、色川家の人びとゝの面談の日であつた。倖世の供養を終へた色川の母は、だうしてもカンテラに、一言禮が云ひたいと、申し出てきたのである。倖世の魂が迷はず成佛出來たのも、何もかもカンテラの「英断」に拠るところだと、彼女(母)は思つてゐた。
「大變なところ、だうも濟みません」杵塚は頭を下げた。カ「俺ならもう大丈夫だよ。それに、この事は杵、きみに禮を云はれる筋合ひのものではない」杵「はあ」
倖世を斬つた事を、色川家の者が、曲解せずにゐてくれて、正直カンテラは安堵してゐた。彼は、熱いシャワーを浴びて、躰に染みついた灯油の臭ひを落とした。
色川の母は、金運が良
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)