再び抒情詩の時代へ/岡部淳太郎
 
代詩というか日本の詩そのものの終焉が近づいていることを意味するのだ。そんな大袈裟なと思われるかもしれないが、試しにあなたの周囲にいる自分では詩を書いていない人に知っている詩人、好きな詩人を訊いてみると良い。谷川さんの名前が出ればまだいい方で、大抵は詩人の名前など一人も知らないか、現代詩村では詩人と認められていないJポップのミュージシャンの名前を出すか、とっくの昔に亡くなった近代詩の物故詩人の名前が出るのがせいぜいだろう。要するに、現代詩の詩人はそれほどまでに知られていない。谷川俊太郎さんだけが最後の砦だったのだ。そんな人が亡くなったのだから、現代詩村はいよいよのっぴきならない状況に追いこまれたと言
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