再び抒情詩の時代へ/岡部淳太郎
 
 昨年十一時に谷川俊太郎さんが亡くなった。個人的に喪失感のようなものはあまりなく、それよりもこれでいよいよ現代詩も危機的状況になったなという感じの方が強い。なぜなら、現代詩村が外部の世間一般にアピール出来る詩人はたた一人谷川俊太郎さんのみだったからだ。どういうことか。人々が詩を読もうとした時にまず触れるのが谷川俊太郎さんであり、他の数多ある詩人たちはほぼ眼中にないからだ(他にこの「現代詩フォーラム」に籍を置いてたこともある最果タヒさんもいるが、谷川さんほど広範な支持を得ているとは思えない)。つまり、現代詩が世間に誇れる詩人は谷川俊太郎さんのみであり、その人がいなくなったということは、いよいよ現代詩
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