NWSF怪畸ロマン 斬魔屋カンテラ!!『言の葉魔女』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
〈春雨や濡れて參らう傘一つ 涙次〉


【?】

 坂本鈴之助が、ふらり「カンテラ一燈齋事務所」を訪ねてきた。折詰一つ提げて。カンテラは外殻の中で、惰眠を貪つてゐる。どの道、俺に用だらう、久方ぶりにじろさん、坂本の顔を見た。
「やあ先生、お躰の方はだうですか?」
 坂本、如何にも喧嘩つ早さうな、村上龍の若かりし頃を彷彿とさせる、元氣な論客の顔を輝かせ、「此井さん、いつぞやはお世話になりました」ちやんと自分の顔だ。これなら「達観の木*」の後遺症はない、じろさん確信し、「いえいえ、本復なされたやうで」坂「あの時、自分だうにかしてをりました。お蔭様で、弟子たちも戻り、なんとかやつてをります
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