NWSF怪畸ロマン 斬魔屋カンテラ!!『幼馴染』後篇/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
い。?任の身替はりで、じろさんがベッドに潜り込んだ。「今回俺は囮役だ」じろさんは、武道修業の一環として、「氣」を完全に消す術を身につけてゐたのだ。

 深夜になつた。

 ふとうすら寒い氣配をじろさんが感じると、女が一人、添ひ寢してゐた。だが、今度は驚愕するのは女(の亡靈)の方だつた。がばり、と起き上がる彼女。「あんた誰よ! わたしのユウジを何処にやつたの!」「はゝゝ。濟んませんね、こんな爺イで。心配御無用。あんたもう直ぐ成佛出來ますよ」
 物蔭に佇んでゐたカンテラが、すらり、剣を拔き放つた。「南無-」
「しえええええいつ!」亡靈はちゞばらばらになり、やがて雲霧消散した。



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