Poets on the Road   ── 旅立ったchori君へ/服部 剛
 
ori君

君と会ったのは
20年間で10回にみたない 
けれど
詩人の君の面影は
脳裏に刻印されているよ

2本目のチューハイを空けて
本を読んだら
もう
巨きな灰色の京都駅

減速する車窓の青い秋空に
うっすら灯る 
詩人の星と
地上に残された僕等は
透きとおる縁(えにし)の糸で
そっと結ばれている気がする

君の旅立ちを知った時
ふいに、溢れ出た涙

我が家で玩具の鍵盤が
ひとりでに鳴った、挨拶(あいさつ)の音 

君の詩集と
想い出の場面たちを入れた
旅の鞄を背負い、立ち上がる

列車のドアは開き
僕は京都駅のホームに降りた  












   
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