不香の花/リリー
 
目をふせて
  たじたじと思いに堪えた

 ×××

 やはりあなたと別れてから
 グラスのお酒に
 タバコの煙に
 華やかに笑いながら
 恋をみおくるすべも知って
 一人、酒房の片隅にいる

  憶えているのは遠い日のこと
  悲しみの影はなく
  薄らかにある
  はつ春





 注)不香の花=snow flower。雪の美しさを花にたとえた冬の季語。

 
      (2024年2月9日 日本WEB詩人会 初出を改訂)



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