いつかも歩いたその道を/ホロウ・シカエルボク
古い、小石をモザイクタイルのように散りばめたセメントの路面で、五百円硬貨程度の大きさの蝸牛が踏み潰されている、パン粉みたいに砕けた殻と、透明な血を滲ませた肌色の―ぐしゃぐしゃになった本体、それが、明確な殺意のもとに行われた行為であることは明らかだった、俺は以前から捨てようと思って忘れていた、潰れたレコードショップの会員証を使ってそいつの身体を道の隅へ寄せてやった、特別愛に満ちた人間ではないが、それはあまりにも不憫だったのだ―親近感なんかではないさ、決してね…それからのんびりとその路地を歩いた、この路地にあるのは飲み屋ばかりで、午後に入って間もない今時分はすべての店がシャッターを下ろすか扉にクロ
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