NWSF傳畸ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『泰西堂主人』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
口から、久方ぶりの表に出た。見送りのスタッフも皆、顔を知つてゐる連中だ。ジョーイ・ザ・クルセイダーの混ざつている確率は低い。何しろ敵さんの顔が分からない。
 そこに急遽修理した例のデボネアに乘つて、じろさんがやつて來た。これは陽動作戦なのだ。わざとジョーイ・ザ・クルセイダーの目に留まる為の。
 空港まで送つて行く、その隙を突いて、やはり、と云ふかジョーイ・ザ・クルセイダーは現れた。じろさんがクルマのドアを開けた瞬間、固い物を突き付けた男が…。
「ハーイ、コノイ。氣分はだうだい? もうすぐ地獄行きつて氣分はよ」男は囁いた。ばらばらと、恐らくは「浄の會」のメンバーだらう、屈強な男たちが取り巻く。
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