NWSF傳畸ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『泰西堂主人』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
 
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 食事のルームサーヴィスも全部カンテラが「毒見」をした。彼の人造の躰にはどんな毒藥も通用しない。だが、日々は徒らに過ぎてゆくばかり。いつ迄経つてもジョーイ・ザ・クルセイダーの襲撃は起きなかつた。

 カン「ち! 次の公演はいつだ、オーギュスタン」オ「2月9日、クアラルンプールだよ」カン「それ迄待つんだらうな、奴さんは。お前がホテルから出てきたところを見計らつて、バーン、だ」オ「俺だうすりやいゝワケ?」カン「いやこつちにも考へがある」
 
 2月5日になつた。もうそろそろ現地に飛ばないと、次のリハーサルに間に合はない。オーギュスタンはカンテラの外殻を首から提げ、ホテルの通用口か
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