NWSF剣豪ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『からつかぜ』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
【?】
じろさんに杵塚が渡した、倖世の詩- (題名は特にない)
?い月光が私の躰を洗うとき
あなたはどこに居たのかしら?
私の坩堝の中
私は夜を嗤い 世を嗤い 邪魔っけな陽光を嗤い
あなたを嗤った
じろさんの中で野生がさうさせたのか、彼は紙に染みついたインクの臭ひを嗅いだ。「これは鑑識(と云つてもテオだが)へ」
杵塚は事務所内の設備、だう使つてもよい、とカンテラから聞いてゐたので、酔ひもさめる明け方ごろ、風呂に湯を張り、獨り入浴と洒落込んだ。彼が躰を洗つてゐる最中、
「ごめんよ」とじろさんがタオルで前を抑へ、風呂に闖入してきた。「濟まんね、私も風呂」。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)