NWSF剣豪ロマン カンテラ・サーガ、ピリオド3『からつかぜ』?/?任勇梓 Takatoh Yuji
〈色稚児の小指痛いかからつかぜ 涙次〉
【?】
じろさん、こと此井功二郎はずかずかテオの書齋に入つてきた。テオは丁度これから谷澤景六としての作業をしたくて、でゞこを脇に侍らせながら、安保宙輔・製作による「猫用筆記グラブ」を前脚に嵌めたところだつた。
「じろさんなんすか? これから仕事ですよ」
「おつといけねえ。にやんこ先生、文士の時間か」最近では幾ら鈍いじろさんでも、テレパスらしさを備へて、テオの話し相手として不足なき?態にはなつてゐた。
「いや何となく猫のむくむくしたのを、俺も抱いてみたい時があつてね」じろさん頭を掻く。
「さう云ふ柄すかじろさん、自分のキャラ弁へないと
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