黒板の花/
たもつ
あなたが夕日の
真似をするものだから
わたしはすっかり
あなたを夕日だと
思ってしまった
ほんの少し
音を出してみる
それもまた
言葉だった
誰かが黒板に描いた
綺麗な花の絵を
消したことがある
散らずに消えていく
その花の名前を
わたしは知らなくて
今もずっと
知らないまま
カナブンとおしゃべりする
あなたにも見せてあげた
沈んでいく
あれは本当に
あなただったのだろうか
そう思うと名前すらもう
覚えていない気がした
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