わたしはもりをでて、またもりにかえる。/あらい
囲を覆い尽くす。牛は割れたブリキの格好で、放し飼いだ。その翠の海は、わずかな時間の後に、いのちと姿を変える。そこでは全てが映し出され、さらに歪んでいく
惨んだ胸の内をそっと手で掴むと、それが記憶の技なのか夢の仕業なのか、餌付けされたカナリヤは立ちはだかるよう。現実がその文字の形を取り始める。答えもなければ、色もなく音もない。思考と感覚が紙の上に、あるいは空気の中に、密度をもって敷き詰められていく。意思だけが私を歩ませる、私を生かしている
しかし、全てが停止する瞬間が訪れる。あらゆるものが凍りつき、光も影もその場で停止したように見える。だがそれは、逆流する船が出口を見つけるための、ほんの短い沈黙だ。その船は、絶えず変化する流れの中で、出口を探し続け、やがて新たな形の未来を迎え入れる。私は森をでて、また森に還る。
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