わたしはもりをでて、またもりにかえる。/あらい
 
 迷路のようになにもない空間に、昼と夜が貼り付くように混ざり合い、幾何学模様のように延びたり、収縮したりする
 過去と未来を結ぶ未知の橋のように見える。かわいた台所に生乾きの蝶が脱ぎ捨てられたまま震えていた。その音色は、一瞬で消えてしまう泡のように儚い
 つなぎ目のない網目から透かしてみる、落ち葉の一枚の手を取ってワルツもタクトを踏む。遠くに広がる街は蜃気楼。一面が鏡のように輝き、ばさばさに干した貝殻が潤んだ瞳でねっとりとした暑さを隠し損ねた夏、腐っていた、汚物はどこかで誰かが秀でているかのようでありながら、実際には雲、木々、風そのものの自然の姿であり、響かせているものだ
 反射する中で真実
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