醜いソネット/201
 

お前が何かしたからだし
私が何もしたくないからだ
いちいち絡むな

月はいつものように白く
海は遠く
雲が虹色に透けて

私はやっと帰れるのだと息をつく
誰もいない世界へ
好きでもないのに思いやらなければならない必要のない世界へ

大好きな朝の名前をした
煙草の灰のような詩
わたしのなぐさめ

肉片ひとつ残さず拾って
ごみ焼却炉に放り込み
きたねえなと呟くあなた

私はもうあなた方には出会わない
生きてはいるだろう
存在こそするだろう

でも出逢わない
何もなかったからだ
そして失われていく

忘れることだけが唯一の救い
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