行間の、過ごし方/望月 ゆき
 
すすんでゆく先には 
行間が待っていて
いつも 立ちどまってしまう


深呼吸、する 
 ( ふかく、ふかく、吸って、
 ( ゆっくり、ゆっくり、吐いて、


ふりかえる
ふりかえっては、深読みして
ふりかえっては、泣いてみたり
する


つま先に目をやる
つま先にこつんとあたったものを、見る
つま先の対角線上の点で それを
うしろに、蹴る


空気の真ん中で
酸素と、二酸化炭素を、何度も入れかえる
わたしの小さな鼻腔と
半開きの、口


その空間が
一行であるか、二行であるか、
あるいは、
ということは、実はたいしたことではない
ようでいて、とても、重い


つま先がそこに踏み入ったとき
本当にするべきことはたったの一つなのだろうと
たったのそれだけは知りながら
本当にするべきたったの一つを見つけられないまま
呼吸だけ、やめない



そうしてわたしは
今も、行間にたちつくしている

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