メモ/はるな
ここいらへんでは氷柱はみられない。駅前のマンションの前に、水のあがらない噴水(池でもないし、あれってどういうつもりだろう)があって、冬のいちばん底になるとようやく薄く氷が張るくらいだ。
部屋のなかで弱い日差しに順応してへなへな生きているかわいい植物たち。
自分の髪や肌がきちんと老いていくのがわかる。しまりの悪い蛇口から水が零れて受け皿に溜まっていくような感じ。わたし自身は蛇口でも、水でも、受け皿でもなく、それたちが作る状況のすべて。
せっかく年をとるのだから、強く、鋭く、かたく、澄んでいこうと思ったりもする。雪山の青空みたいに。ちいさい氷柱、冬の底で張る氷、石ころ、湖にうつる月み
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