WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
語を語るごとに矛盾している。彼の中ではあらゆる対立が一つの新しい統一に向けて結び合わされている。」(ニーチェ『この人を見よ』なぜ私はかくも良い本を書くのか・ツァラトゥストラかく語りき・六、西尾幹二訳)。
端的にいえば、詩の作り方には二通りしかない。一つは、あらかじめ作品の構成を決め、言葉の選択と配置に細心の注意を払って作る方法である。もちろん、それらを吟味していて、構想の途中で、最初に考えた構成を変更したりすることもある。拙詩集の『The Wasteless Land.』(書肆山田、一九九九年)は、出来上がるまで二年近くかかったのだが、はじめに考えていたものとは、ずいぶん違ったものになった
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)