WELCOME TO THE WASTELESS LAND。──詩法と実作/田中宏輔
 
ーシュができると考えたのである。「不毛の、荒廃した」という意味の「waste」の反意語に、「使い切れない、無尽蔵の」といった意味の「wasteless」があることから、タイトルを決め、構成と文体を西脇訳の『荒地』に依拠させて制作することにしたのである。このとき、この作品と同時並行的に考えていたものがあって、それは、ゲーテのファウストを主人公にしたもので、モチーフの繋がり具合があまり良くなかったので途中で投げ出していたのだが、これと合わせて、『荒地』のパスティーシュに用いるとどうなるか、やってみることにしたのである。出来上がりはどうであれ、語を吟味する作業によって、筆者が得たものには、計り知れないも
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