夜に裂ける/ホロウ・シカエルボク
 
も何か他の手段を考えるのか、それとも、自分が出てくるまでもないということなのだろうか、ままならぬものが増えるほどいらだちは拗れていく、あるいはもうそれは殺意と呼んでもいいものに変わっているのかもしれない、ははっ、いったい、何を殺すというのだね、今ここで誰かにその切っ先が向けられるとしたら、十中八九この俺の喉笛ではないのか、俺は立ち上がろうと決める、全身に裂けるような痛みが走る、唇を噛み、呻きながら俺は立ち上がろうとする、痛い、でもそれだけだ、もうそれだけなら立ち上がってしまおうと決めていた、唇が切れて血が流れた、それは奇妙なほど熱かった、口の中に溜まった血を吐いて俺は叫んだ、獣のように叫びながら立
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