夜に裂ける/ホロウ・シカエルボク
 
ら立ち上がった、部屋の壁に一度、頭を打ち付けた、一瞬、世界は静寂し、俺は肉体の主導権を取り戻した、動くことだ、数回、深呼吸をして、余計な力を抜いた、挑めば自分が望むように変えることも出来る、そんなことだってあるかもしれない、ハッ、まるで昔のロックソングだ、無情の世界、なんてもはや洒落にもならない時代に、でもそんな原動力はまだ生きているのだ、外に出よう、俺は服を着替え、発作的に外へ飛び出した、もう開いている店などなかった、深夜一時なのだ、飲み屋でさえ店仕舞いを始めていた、しかたが無いのでコンビニに入った、入口の近くで商品を出していた若い女の店員が、いらっしゃいませと言いながらこちらを見てえっという顔
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