夜に裂ける/ホロウ・シカエルボク
がら恨み言を吐くしかない、窓の外から誰かがこちらを覗いているような気がする、そんな気がするだけだ、カーテンは隙間なく閉じられている、にも関わらず、明らかにそうだと確信してしまうほどの気配、それは誰が作り出している、それは誰が作り出している?それはこの肉体に巣食った腐敗じみた感覚と同じところから生れてきているのか?俺は目を細め、窓の向こうに居る何かを感じようとする、それは主張の強過ぎる亡霊のように、存在感だけがあり、存在してはいない、ふざけるなよ、吐き捨てる声すらまともに出てはいない、不意にカーテンが揺れる、俺は精一杯身構えるが、それ以上のことは起こらない、そして気配は消える、諦めたのか、それとも何
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