夜に裂ける/ホロウ・シカエルボク
 

寝床に沈み込んで壊死した夢が肉体に浸透して悪い気分になる、細胞の拒否反応、対応策の無い流行風邪みたいなさむけと身体の痛み、何も起こってはいないのに酷く摩耗している、油の切れた機械になってしまったかのよう、夜にはまれに水面下で動いているものたちが浮上してくることがある、日頃見ないようにしている、気付かないようにしている、あるいは本当に気付けないようなものたち、今夜はそんな夜だったということさ、部屋にあるだけのブランケットでも温まることは出来ない、凍えているのは肉体ではないのだ、凝固するということ、澱んだ血のように、流れを阻害するもの、そしてそれは、自分以外のどこにも原因は無く、ただただ震えながら
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