不在/夏井椋也
 

寒い季節になると
いないはずのあなたを
つい探してしまう

枯木立の向こう
ベンチの連なり
落葉を踏む音

いないはずのあなたは
寒い季節に紛れて
すぐにわたしを探し当ててしまう

たとえばハクセキレイ
一直線に走って
芝生広場の端で振り返る

たとえ翼を持っていても
飛ぼうとしない
理解不能の意固地さが

いないはずのあなたに
とても似ている



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